第6章 4話 精霊が消えること
「あの、スーフィアさん……」
風花は横たわる優月を見つめた。
彼の体はところどころが透きとおって、揺らめいている。かすかに、淡緑色に光っていた。
「優月さんの体がこんな風に透き通っているのは……」
「そうね。優月はきっと消えたいと思っているわ。精霊ではなくなりかけているの」
夏澄たちと違って、スーフィアは優月から瞳をそらさない。
悲しいような優しいような表情で、正面から優月を見ていた。
「でも、精霊が消えるなんてことないですよね……?」
もしかしたらと、風花は希望を込めて訊いた。
「そうでもないわ」
スーフィアは瞳を伏せた。
「霊力を無くして、霊体を保てなくなれば簡単に……。優月は霊力を出し続けているでしょ?」
風花は優月を見つめる。
だから、ずっと淡緑色の光が出てるんだ……。
淡緑色の光は、優月の霊力の色だ。
風花は、あれ、と思う。
淡緑色の光が、一筋、優月の体にもどって吸い込まれるのが見えたからだ。
一筋、また一筋と、もどっていく。
訊こうとした風花の頭の中に、声が聞こえてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます