第6章 春ヶ原に射すひかり

第6章 1話 朝の結界の中で

 朝の空気は冷たく、澄んでいる。


 風花は結界の中で、揺らめく霧を見つめていた。


 藤原の御泉が作る癒やしの霧に、優月が横たわっている。

 力なく瞳を閉じて、動かずにいた。


 優月の体はなぜか、消えかかっているように透き通っていた。


 どうして……?


 風花は夏澄たちを振りかえる。


 きらっと朝日が目に入って、思わずまぶたを閉じた。

 今日の朝日はまぶしすぎる。


 昨夜、ほとんど眠れなかった風花には、痛いくらいの光だ。


 風花はそのまま、まぶたを閉じて、潤んでくる目をやり過ごした。


 今朝は快晴だった。

 木漏れ日が線を描いて、御泉公園のところどころに差し込んでいる。


 家を出て、公園に来るまでの道でも、痛いくらいに陽が射していた。


 やっぱり、だった……。


 風花は思う。


 今日の霊泉はいつもと違ったから、不安だった。

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