第5章 66話 眠れない夜

 優月の体から、悲しみの霊力が何度も何度も、放出される。


 霊力は風のように流れて、周りの全てに吹きつける。植物が全て萎れて、何度も霊力を浴びた木々の葉は枯れて落ちていく。


 緑でいっぱいだった藤原の御泉公園が、朽葉色に染まる。


 優月の瞳が悲しみを映す。


 布団の中でうとうとしながら、風花はまたそんな想像をしてしまった。


 もう嫌だと、枕に頭を押しつけて、うつ伏せになる。


 時計の針は三時を差していた。


 嫌な想像ばかりしてしまい、風花は全然眠れないでいた。


 もし、さっきの想像みたいなことが起きたらどうなるだろう。


 風花は布団を握りしめる。

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