第5章 64話 月夜とゆり音のセッション

 ふいに背後で、ドアがノックされた。


 星夜が入ってくる。トレイにティーセットを乗せていた。


「うれしーっ。ありがとう。星夜」

「夕食前だけど、いいよな。……食前茶ってことにしよう。オレも聴いていいか?」

「もちろん」


 ゆり音は両腕を広げ、全身で応える。


 しばらくすると、月夜も入ってきた。


 月夜はピアノの前にすわり、ゆり音とセッションを始める。


 月夜は特に音楽が好きなわけではないが、なんでもうまくこなす天才なのだ。


 二人は演奏を続けながら、星夜とクラッシックについての雑談を始めた。それは長々と続く。


 わたしの家はいつも賑やかだと、風花は目を閉じた。

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