第5章 61話 風花の家

「ただいま……」


 玄関のドアを開けると、ピアノ曲が聞こえてきた。


 今日は母のゆり音が弾いているのではなく、CDのようだ。

 リビングを覗くと、ゆり音が洗濯物をたたんでた。


「おかえりー、風花っ。……あら」


 顔をあげたゆり音は、ふしぎそうにする。


「どうしたの? 元気ないわね」


「う、ん……。あるよ、だいじょうぶ」


「お友達と遊びに行ったんでしよ? 楽しかった?」

「うん、楽しかったよ」


 小さくわらって、風花は応えた。


 階段をあがり、自室に入る。


 ベットに横になると、目を閉じた。

 頭がぼんやりして、体が重い。着替えようと思うのに、動けなかった。

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