第5章 45話 時間が経つのは早い
風花は広場の端にある、杉の大木に駆け寄った。
勢いのままにすわり込み、空を見上げる。
「疲れたーっ」
大木にはスーフィアが先に寄りかかっていた。
「楽しかったねっ、スーフィアさん」
いうと、スーフィアは優美にわらう。
彼女は、目隠し鬼の遊びで使っていた風花のリボンを、きれいに伸ばしてくれていた。
「本当、つい夢中になっちゃうわよね。時間が経つのは早いわね」
「あ、太陽が低い……」
風花は声を漏らす。 周りの杉の木の影が、長くなっていた。
影は杉林の中の、風花たちがいる広場に、くっきり映っている。
広場の奥にある櫓の影も伸びていた。 櫓は、この山で行われる春祭りで使われる、太鼓櫓だ。
祭り終わった今は、どこか寂しげにしている。
ここは、春祭りの時期以外は、誰も来ない場所だ。
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