第5章 30話 枯れた葉

 結界でないとしたら、春ヶ原全体の霊力が衰えているのだろうか。


 春ヶ原ができてから、もう十年だ。経年劣化でも、起きているのかもしれない。


 ヒントがあるとすれば、春ヶ原が傷つくときに現れる、冷たい風と枯れ葉だ。


 特に、あの葉は実体がない。

 立貴の水晶玉の光を浴びれば、すぐに消えるからだ。


 すっかり衰えて曲がり、縮んでいた枯れ葉。あれでは、なんの木の葉かも分からない。


 歪んで、なにかの呪いのような暗い色をしていた。


 そこまで、考えた優月は、心が波立つのを感じた。 自分はなにかを、見誤っているのかもしれない。


 あの葉のことは、あまり気に留めていなかったが、もっと探ったほうがいいのかもしれない。


 そんな考えが頭をよぎった。

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