第5章 29話 何故なのか

 本当に、何故なんだろうか。


 つい、うつむいてしまい、優月は顔をあげた。

  鬱念としてしまっては、せっかく、もてなしてくれている水の精霊たちに申し訳ない。


 夏澄たちは、まるで宴でも開いているように、優月をもてなしてくれていた。


 さっき、風花がくれた星水粒は、涼しげな色なのに、暖かく感じる。

 優月はひざの上に散らばっている星水粒を、引き寄せた 。


 ……何故、春ヶ原の植物は萎れ、動物は体調を崩すのだろう。 外界からの攻撃の可能性が、一番高かった。


 だが、そんな痕跡はない。

 なら、春ヶ原を護る霊力が衰えたのかもしれないと、優月は考えた。


 なので自分と草花は、霊力を立貴に送り、立貴を通して、結界を強化した。


 効果はなかった。

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