第5章 27話 優月の想い
柑実の精霊の優月は、息が止まるような感覚でいた。
さっき風花が自分にくれた、手のひらの上の星水粒を見つめる。
水の精霊の国が、こんなに美しいとは思っていなかった。
生き生きと枝葉を伸ばす樹。勿忘草色から露草色に変わる、透きとおった空。
なにより水が清浄だ。
絶え間なく降る、水の精霊の国の雨。
大気を抜け、地を流れ、すべてを浄化していくのが見えるようだ。
話には聞いていたが、優月の想像を越えていた。この世に、こんな世界があるかと、泣きたいくらいにうれしかった。
草花や立貴が見たら喜ぶだろう。
いつか、春ヶ原でも幻術を披露してもらいたい。
草花と立貴。
大切な仲間を想い出して、優月は笑顔で空を見あげた。
今ごろ、なにをしているだろう。
いつものように、動物とたわむれて、わらっているといい。
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