第5章 11話 焦ったって

「お前、そんなににこにこして、また夏澄の盾になろうって考えていただろ?」


  ……え?


「そんなこと考えてないよ」


「うそつくなよ」

「本当だってば」

「絶対、うそだ。うそつくな」


  ……本当だよ。絶対に。


  風花は心の中で強くいう。


 わたしは、優月さんのことを考えてただけだ。 なにかと思ったら、すごい勘違いだ。


「今の自分にできることをしろって、いっただろが」

「だから、わたしは優月さん……」


 答えるが、飛雨は聞く耳を持たない。

「焦ったって、強くなれないんだぞ」


 焦らなきゃ、強くなれないよ……。


  飛雨のすることもいうことも、意味が分からないことばかりだ。

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