第5章 10話 飛雨のすることは……

「じゃあね、飛雨くん。今日もありがとう。また明日ね」


 訓練が終わり、ガラス戸から出て行こうとする飛雨に、風花は手を振った。


「ああ、午前十時ごろには、藤原の御泉に来てくれな」

「うんっ」


 精霊さんに、ゴールデンウィークは関係ないかもしれないけど、楽しんでもらおう。


  笑顔で応えたとき、飛雨はなぜか、おでこに青筋を浮かべた。


  一歩踏み出し、風花の顔を両手で挟むようにはたく。

 ばちんと、音が響いた。


 ……痛い。 なんで?


「目が覚めたか? 風花」

 風花は唖然とする。頬がひりひりした。


 飛雨のすることは、たまに意味が分からなくなる。

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