第5章 9話 五日間

「行、きたい……ー」


  風花は肩を落とし、ひざに顔を押しつけた。 行きたい。


  門限など、無視してしまいたい。だが、あれほど心配されたあとだ。


 とてもできない。


 よく考えたらゴールデンウィーク中で、学校がない。

 昼間は一緒にいられるのだから、運がいい。 そう思おう。


「優月さん、いつまでいるの?」


「五日くらいだって聞いてるよ」


「そんなにいるんだ」


 優月が、五日も春ヶ原を離れるのは意外だった。


  優月は草花たちの、保護者のようなものだ。彼女たちがいる場所をそんなに離れて、心配ではないのだろうか。


「そうだよな。すぐ帰るだろうと思ってたのに」

「でしょ?」


「優月、春ヶ原にいたくないのかな……」


 飛雨はぼそっとつぶやいた。

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