第4章 52話 竹藪の細道

 藤原の御泉から、風花の家までの帰り道の途中に、大きな竹藪がある。


 竹藪の真ん中には、細い道が一本通っている。 竹の葉に覆われて、トンネルのようになってい道だ。


 風花たちは、その道の隅にすわっていた。

  そうすれば、外から見えないからだ。


  ……春ヶ原が壊れそうなんて、本当に?


 風花は聞きたかったが、できなかった。夏澄に何度も同じことをいわせないほうがいい気がした。


  そういえば……。


  夏澄くんがさっきいおうとしていたことは、これだったのかな。


「夏澄くん、だいじょうぶ?」


 夏澄はひざを抱え、ずっと黙り込んでいた。


「なにかに寄りかかると楽だよ。背中貸そうか?」

 夏澄は瞳を見開き、やがて、微笑む。


「ありがとう。じゃあ、本当に疲れた時、お願いするよ」


 ……ばかなこといっちゃたかな。


  風花の頬は少し赤くなった。


「ねえ、夏澄。何故、そう思ったの? 詳しく話してくれる?」


  静かにスーフィアが切り出した。

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