第4章 52話 分かったこと

「どうしたの? 夏澄くん」


『もしかして、霊力を使い過ぎた?』


 スーフィアの心配気な声に、風花はどきっとする。


「だいじょうぶ? 夏澄くん」


  姿を消している夏澄を、見ることはできない。風花は夏澄の様子を伺いたくても、できなかった。


『心配してくれてありがと。でも、違うんだ。……俺ね、本当は今日、分かったことがあるんだ』

『どんなこと……?』


  スーフィアがそっと訊く。


『春ヶ原を護る霊力が足りなくなっているってこと。いつか、壊れちゃうかもしれない』


夏澄の声は小さく、消え入りそうだった。


  一瞬、聞き間違いかと風花は思う。


  だが、記憶の中に残る彼の声は、確かに壊れるといっていた。

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