第4章 48話 体が宙に浮くような

 家に電話をし、風花はすぐに帰ると告げる。


 自転車のハンドルに手をかけた。


『じゃあ、行こう、風花』

『見えなくても、近くにいるから、安心していいわよ』


 夏澄とスーフィアの声が頭の中に響く。


 姿が見えなくて実感がないのに、なぜかうれしくなってきた。 初めての体験だからだろうか。わくわくする。


「疲れているのにありがとう。夏澄くん、スーフィアさん」


 夏澄たちは姿を消しているが、風花はつい彼らを探してしまう そうしているうちに、ふしぎな気持ちになっていた。


 どこかでふわふわ浮いているはずの夏澄たちが、なぜだかひどくうらやましい。


 うらやましくて、自分もつま先立ちになって、体を浮かせる真似をする。

 すると、本当に体が宙に浮くような、ふしぎな気持ちになってくるのだ。

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