第4章 46話 「風花が来てる」って

「本当にって?」


「私たち、春ヶ原から今帰ってきたんだけど、途中で夏澄が風花の気配を読んだのよ。そしたら夏澄、『風花が来てる』っていって、先に行っちゃったの。でも、風花…… 」


  スーフィアは遠慮がちにいう。


「こんな時間に、ここで一人でいたの? 危ないわよ」


「でも、風花は優月や俺たちのこと、心配して来てくれたんだよね」

 夏澄が風花の横に立つ。


「ありがとう。優月はもう治ったよ」


「夏澄くんたちもなんともない?」

「うん、みんなだいじょうぶ」


  夏澄は微笑んだ。風花は嬉しくてうつむく。 夏澄がわらうと心が暖かくなる。


「優月さんはどこがわるかったの?」


  いうと、夏澄は急に顔を曇らせた。


「それは分からない」

  瞳を伏せる。


「春ヶ原の植物が萎れた時と同じだよ。やっぱり、なにが原因か分からなかった」


 風花は息をつめた。 夜闇のような不安が胸に広がった。

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