第4章 45話 飛雨の迷い

 飛雨は、風花の服の襟を掴んで、締めあげた。


「夏澄が怪我でもしたら、どうすんだ?」


  いくらなんでも、それはないんじゃ?

  思ったが、風花は黙っていた。


「飛雨……」


 夏澄の言葉で、飛雨は瞳を瞬く。ぱっと手を離した。


「今のは暴力じゃないぞ。お、お前の襟にゴミがついていたんだよ」


 いうと、彼はやけに丁寧に乱れた襟元を整えた。


「あ、風花。本当に来てたのね」


  頭の上のほうから声がした。


 東屋に張った結界内に姿を現したスーフィアが、舞い降りてきた。

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