第4章 44話 水色の光
……普通の声じゃない。
風花は血の気が引いていくのを感じた。
耳から聞こえる声というより、頭の中に響くような声なのだ。
幻聴? もしかして、お化けか妖怪……?!
風花は悲鳴をあげて、東屋の隅に走った。柱に擦りよる。
……風花。
また名が呼ばれた。声はだんだん近くなっている気がした。
混乱して、近づいてくるなにかを避けようと、鞄を振り回す。
……ごめん、すぐ結界張るから。 声が続く。
「結界……?」
目の前の空間が水色に光る。 やがて、夏澄が姿を現した。
風花は呆ける。 振り回した鞄の端が、夏澄の腕に当たった。
「ごめん、夏澄くんっ。だいじょうぶ?」
いった時、後頭部に殴られたような痛みが走った。
……今度はなに?
「お前ー」
振り返るのと、押し殺した低い声が響くのは同時だった。
「夏澄の御尊腕に、なんてことすんだ?!」
いつの間にか、飛雨が背後に立っていた。拳を握っている。
彼が風花の頭を殴ったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます