第4章 41話 帰ってこない友達

「どうしたの?」


「あのね、ママ。飛雨くんの友達で帰ってこない子がいるんだって」

「え?」


「飛雨くん、探しているの。心配だから、わたしも手伝ってきていい?」


 うそには気が引けたが、半分は本当だ。ごめんなさいと、風花は心の中で謝る。


「いいわよー」


  ゆり音はあっさりいった。 風花は息をつく。彼女は父親のように厳しくないので助かる。


「でも心配だから、護衛をつけるわね。月夜や星夜、暇かしら」

「い、いいよ」


 風花はあわてていう。

「お兄ちゃんたち忙しいだろうし」


「だめよー。もう夜の八時よ」


「すぐ帰ってくるからだいじょうぶ。……行ってきます」


 もう、と、ゆり音はむくれる。


「電話は持ったー? 定期連絡するのよー!」 「分かった、ありがとう」


  階段を上がり、風花は自室にあった鞄を掴んだ。


 玄関を駆け抜け、門の近くに停めてあった自転車に手をかけた。

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