第4章 39話 藤原の御泉へ

 藤原の御泉公園……。


 思いたった風花は、ぱっと立ち上がった。勢いでイスが倒れる。


  静かな図書館内に、不快音が響き渡る。周りの人が風花を見、職員が駆け寄ってきた。


  職員は倒れたイスをもどしてくれる。


「…… ごめんなさい」


  風花は何度も頭を下げた。


  藤原の御泉公園には、夏澄たちが住処にしている霊泉がある。 体を癒やしてくれる霊泉で、夏澄たちは夜、そこで休んでいる。


 あそこで待っていれば、夏澄くんはもどってくるっ。


 萎れていた心が、膨らんできた。


  風花は早足で歩き出した。

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