第4章 38話 蓮峯山は遠かった

 よく考えたらと、風花は思った。


  もし、飛雨くんに追いついけたって、春ヶ原に行けるはずはなかった。


  春ヶ原がある蓮峯山まで、バスで行っても一時間だ。

 飛雨ならともかく、風花の足では何時間かかるか分からない。


  というより、あんな険しい山道を歩く体力はない。 絶対に途中で歩けなくなるだろう。


  また米俵のように担がれて、迷惑をかけてしまう。


 それに、バス停からは道もないところを進むんだった。


  本当に、なにやっているんだろう。わたし……。


  鬱々と気持ちが沈んでいく。風花は机に突っ伏した。

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