第4章 31話 スーフィアの気配

 じっと空を見上げていた夏澄が、ふいにぴくりと身じろぎした。

 かすかに眉根を寄せ、東南を見る。


「どうしたの?」

「今、スーフィアの気配が……」


「夏澄……」

 どこからか、高い声で夏澄の名が呼ばれた。


 スーフィアの声だ。 続いて、夏澄の隣の空間に、スーフィアが姿を現した。


 衣をふわりと揺らして、降り立つ。彼女は伏せ目がちに夏澄を見た。


「スーフィア?」


「あのね。夏澄、春ヶ原……」

「え?」


 スーフィアは戸惑った瞳で、風花と夏澄を交互に見る。


「こんなときにわるいけど、一緒に春ヶ原にもどってくれない? 優月の体調が少しおかしくて……」

 夏澄は頬に緊張を走らせた。


「私の霊力じゃ、癒せないの」

「すぐ行く」


 さっと立ちあがった。

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