第4章 28話 巻層雲にお願いを
風花はぎゅっとひざを握り、空を見上げた。
薄い、ベールのような雲が、空に幾筋もかかっていた。巻層雲だ。
「きれい……」
「風花も雲は好き?」
「うん。雲は水の塊だもんね。清らかで大好き」
「俺も好き。よかった、喜んでくれて。……風花、霊力の訓練がんばってくれてるんだってね。ありがとう」
「夏澄くんほどじゃないよ。春ヶ原はどうだった?」
「あれから、二回、桃色しろつめ草が萎れたことがあったんだって。原因はまだ分からないよ」
「……ねえ、夏澄くん。一緒に春ヶ原の無事をお願いする?」
「誰に?」
「じゃあ、巻層雲に」
夏澄はなぜか、とてもうれしそうにわらう。
風花と一緒に、空に向かって手を合わせた。
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