第4章 27話 「風花と見たくて帰ってきたよ」
夏澄と逢うのは一週間振りだった。
久しぶりに見る夏澄はまぶしくて、風花は目を細める。
「結界を張ったから、こっちに来て」
夏澄は手招きする。
周りに人がいないのを確認すると、風花は駆け寄った。
「久しぶりだね、風花」
土手に並んですわる。青い瞳がまぶしい。 風花は黙ってうなずいた。
「風花、見て」
少しの間のあと、夏澄は空を指差した。
「今日は巻層雲が出ているよ。風花と見たくて、春ヶ原から帰ってきたんだよ」
風花は、驚いて夏澄を見た。
本当にわざわざ?
ありがとう……っ。
いいたいのに、やはり言葉が出ない。
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