第4章 26話 初めて夏澄に逢った場所

 空はよく晴れていた。

 まぶしいくらいにきれいな青だ。


 ひろあたちと別れた風花は、いつものように川沿いの道を自転車で走っていた。


 夏澄と初めて逢った川だ。

 あれ以来、ここはもっと好きな場所になった。


 通るだけで、心が陽射し色でいっぱいになって暖かくなる。


 風花は自転車を止めた。


 今日の天気のせいか、水面がふしぎな色をしていた。

 光が川深くまで差し込んでいて、透きとおっている。上のほうは薄い水色で、底に行くと青くなる。


 光の反射もいつもより多い。


 夏澄くんみたいにきらきらしてる。


 風花は思った。


 なにをしているだろう、夏澄くん。もうずいぶん逢ってない。


 ……逢いたいな。


 風花は頭を振る。


 きっと、夏澄くんはそれどころじゃない。


 顏をあげると、橋のずっと向こうに桜が見えた。夏澄と一緒に触れた木だ。きらきらな想い出が込み上げた。


「風花……っ!」


 どこからか、水音に似た涼やかな声がした。


一瞬、息が止まる。

 ゆっくり呼吸しながら、風花は顔をあげた。


「夏澄くん……っ!」


 青い瞳を水面のように揺らし、夏澄が立っていた。

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