第4章 23話 霊力があれは解決

「あー、すっきりした。ありがとうね。香夜乃、ひろあ」


  上履きから靴に履き替え、風花は両腕を伸ばした。

 ぐっすり眠ったあとというのは、どうしてこんなに心地良いんだろう。


  香夜乃とひろあは呆れ顔だった。


  昼休みに眠ったあとも、風花の眠気は覚めなかった。

  午後、養護教諭が不在になることを知った香夜乃が、それを教えてくれた。


 風花をは仮病を使い、保健室で休むことにした。 お陰で二時間眠ることができた。


「はい、風ちゃん」


  ひろあがノートを差し出した。


「午後の授業の分だよ」

「……本当に? ありがとーっ」


 ノートを受け取る風花を、香夜乃がいつになく苦い顔で見ていた。


「風花、どうしたの? 人が変わったね。獣医になるんだって、あんなにがんばっていたのに」


 ……だって、癒しの霊力があればいいんだもん。


 わらいが込み上げてくる。


  思わず、夏澄のことをいいそうになり、風花は堪えた。

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