第4章 7話 なにをしてもいいんだよ

 風花はあれから、夏澄とスーフィアに会っていない。

 家に来るのは飛雨だけだ。


 最近の夏澄の様子は全然分からないでいた。何日も立つと、想像することもできなくなる。


  霊力を教えるのは、飛雨が適任なのだそうだ。


  人の霊力のことは、人にしか分からない。


 飛雨は黒髪で目立たないし、もしもの時は記憶が消せる。


「夏澄は今のところ平気だよ。オレやスーフィアがついているから、だいじょうぶだ。……まあ、なにかあったら、風花にも協力を頼むよ」


「ありがと……」


「あー、いいよなーっ」


  急に、飛雨は声を上げた。


「現代文明に興味はないけど、布団は好きだよー。和むなーっ」


 飛雨はばんばんとベッドを両腕で叩き、掛け布団に顔を埋める。

 布団にくるまって、転がった。


 風花は青ざめる。

 あわてて目を逸らした。


  飛雨は、風花を女と思っていないらしい。 だから、なにをしてもいいんだと力説する。


  だからって、女子の布団に寝るのはやっぱりどうかと思う。


 だが、かなり喜んでいるからなにもいえない。


「お前幸せだよなー。毎日こんなもんで眠れてー」


  飛雨が間延びした声を出した時だった。

  ドアをノックする音が響いた。

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