第4章 5話 夢だからこそ

「夏澄は時間がある限り、春ヶ原を見護っているよ。今日は二時間くらいだったかな」


「なにか分かった?」

「いや……」


 今日は春ヶ原にあの風は吹かなかった。 事が起きなければ、原因も探れない。


 飛雨は続けた。


 なぜなんだろう。


 やっばり、春ヶ原を傷つけたい誰かがいるんだろうか。


 でも、草花ちゃんはあんなに優しい子だ。


 優月さんたちだって、身を削って春ヶ原を護っている。


 泣きべそをかいていて、うさぎたちを護ろうとしていた草花が思い出された。


「あんな夢みたいにいい場所、襲われる理由なんてないのに」


「夢だからこそ、いろいろあるんじゃないか?」


 飛雨は風花に背を向けたままつぶやく。

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