第四章 春ヶ原と精霊たちの心

第4章 1話 霊力の訓練

 真っ暗な自室で、風花は正座をしていた。


目を閉じて、瞑想をしている。 もう一時間はこのままだ。


 足が痛くて仕方なかったが、耐えるしかなかった。


「どうだ?」


  隣に立っている飛雨が訊いた。


「こう……、体の中にふしぎな力が湧いてくる感覚ないか?」


「分からない……」


  飛雨は無言でうなずいた。暗いので、表情はよく見えない。


「まあ、気にすんな。そんな簡単に霊力は出てこないよ。気長に行こう」


「うん……」


 風花は肩を落とした。


  いくら説明されても、瞑想も、霊力の感覚も分からない。


 あるのかないのか、霊力が芽生えたのか駄目なのか、それすら分からない。


  考えすぎて、頭の中がぐるぐるとまわる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る