第3章 55話 夕焼けと夏澄の恋

 ……ローフィ。


 ふいに、その名が思い出された。


 誰だろう。なぜ禁句なんだろう。

 

 一昨日、夏澄から名前を聞いたときは、なんのことか分からなかった。

 だが、飛雨の言葉で分かった。


 夏澄はローフィに恋をしているのだ。


 いいなあと、少し風花は思った。


 夏澄くんは、すごくローフィさんを想ってる。

 それに彼のする恋は、きっと一途ですごくきれいだ。


 風花は恋に憧れても、未だに恋愛をしたことがない。


 だから、そんな特別な恋をしている夏澄にどきどきする。


 風花は窓の外を見た。


 夕焼けは、一層鮮やかになっていた。

 風花を包み込んでくれるような気がしてくる。


 オレンジ色の窓に頭を押しつけて、風花は目を閉じた。

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