第3章 40話 春ヶ原の木々は
「ここの木々は動物たちと同じように、草花が保護してきたんです」
優月はなつかしそうにわらう。
「木々は皆、精霊ではありませんし、意志も確かめないで、動物たちを養ってもらうわけにはいきません。草食の仔は草花、雑食の仔は私が養うと決めてあります」
「蜜柑で雑食の仔を、ですか?」
「そういうこともあるんだよ。夏澄くん。ルーメン微生物が活動したときとか」
「なんだよ、それ」
風花の言葉に応えたのは、夏澄でなく飛雨だった。
話の意味が分からないといい、身構える。
「牛なんかの動物の中に住んでいるものだよ。これもパパから聞いたの。ルーメン微生物は栄養を完璧に吸収させてくれて、自分はアミノ酸に……」
「なにいってるか、全然分からねーぞ」
頬を引きつらせ、飛雨は風花を睨む。
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