第4章 3話 真夜中の妖怪

「そろそろ、休憩しよう」


  飛雨はいい、部屋を大股で横切ると、ごろんとベッドに寝転んだ。


  風花のベッドだ。


「今、何時だ?」


 花模様の掛け布団の上を転がる。


「午前零時だね。……ありがとう、こんな遅くまで」


「いや、いいよ。大変なのは風花のほうじゃないか? もう連続だよな。学校って忙しいんだろ?」


「わたしはだいじょうぶ」


 風花はあわてていった。


  一週間前。 春ヶ原に行った、翌日の夜中のことだった。


 約束もなしに、霊力の訓練をしようといって、飛雨が来た。


 そろそろ眠ろうと、風花が灯りを消した途端に、誰かが窓をノックしたのだ。


 続いて、風花の名前が呼ばれる。


  押し殺したような小さな声は、妖怪を連想させた。


  風花は飛び上がりそうなほど驚いた。


 すぐに飛雨だと気がついたからよかった。

  そうでなかったら、警察を呼ぶところだった。

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