第2章 36話 舞う花びらの少女

「なあ、スーフィア……」


 風花の後ろ姿を、飛雨は検分するように見ていた。


「風花に教えてみるか? 霊力の身につけ方」


 めずらしいと、スーフィアは眉をあげる。


「どうしたの? あんなに面倒がっていたのに」


「夏澄のためだからだよ。いつまでも、このままってわけにいかないだろ。風花が霊力を持てて、それが陽の霊力だったら、ローフィさんかもってことになるじゃないか。それに……」


「それに?」


「陽の精霊の姫だっていうなら、霊力ぐらいすぐ取りもどすはずだろ」


 ローフィ……。


 遠い遠い記憶の中の、彼女の姿がよみがえってくる。なつかしくてなつかしくて、スーフィアは瞳を細めた。


 彼女を想い出すとき、真っ先に浮かぶのは風に舞う花びらだ。そういうところは、風花と似ている。

 

 ローフィは、流れて舞う花びらのような少女だった。

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