第3章 46話 理由

 草花を追うかと思ったが、優月は動かずにいた。

 表情のない瞳で、桃色しろつめ草を眺めている。


「お騒がせして、恥ずかしい限りです」

 優月は居住まいを正した。


「それから、勝手だとは思いますが、この仔たちはうちで育てさせていただけますか? こちらから押し付けておいて、申し訳ありません」


 野生に帰すといっていたが、優月はうさぎも春ヶ原で育てるらしい。

 風花はちょっと安心した。


「いえ、寂しいけど、ここには仲間の動物もいるし、そのほうがあの仔たちも喜びますよ」


 スーフィアはそっとわらった。

 

 そんなスーフィアを、優月はふしぎそうに見る。


「あなた方は、あの仔たちを返しに来たと思っていたのですが……。もしかして、ここを訪ねてきた理由が他にあるのですか?」


 夏澄とスーフィアが顔を見合わせた。

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