第3章 37話 春ヶ原の気候

 風花たちと優月は向かい合い、輪を描いてすわった。


「ここには、動物がたくさんいるんですね」


 スーフィアのひざの上のうさぎを撫でながら、夏澄がまず口を開く。


 優月は苦笑いした。


「ええ、山で困っている仔を、草花が片っ端から連れてくるものですから。お陰で私も立貴も右往左往です」


「もしかしてこの野原が、一年中春というのも……」


「気候を良くして植物の成長を促し、あの仔たちを養うためです。草花の願いを、龍である立貴の力を借りて叶えました」


 だから、春ヶ原……。


 風花は目をみはった。


 そんな場所だとは考えたこともなかった。なぜか、息が詰まった。

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