第3章 35話 春ヶ原の風景

 川を上って行くにつれて、蜜柑の木の根元が見えてきた。


 少しだけ、地面が見える場所がある。そこが休息の場だろう。


 休息場では、地面についてしまうくらい長い金の髪の、誰かがすわっていた。


 スーフィアだ。


 髪と白い衣を、円を描いて地面に広げ、人形のようにすわっている。


「夏澄ーっ、飛雨、風花ーっ!」


 スーフィアが大きく手を振った。


 彼女のひざの上には、夏澄が預かったうさぎがいた。にわとりはスーフィアの横でしろつめ草をつついている。


 他にも、数匹のうさぎが草を食んでいた。


 よく見ると、木々の間に鹿もいた。鳥や蝶もいる。

 鳥のさえずりが響く中、皆、陽射しを浴び、のんびりと暖まっているように見えた。

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