第3の 34話 小川の道を歩く

「どうする? 飛雨、風花。無理なら俺が運ぶけど」

「オレは平気」


「わたしも。でも、入っていいんですか?」


 訊く風花に、優月は意外そうな顔をした。やがて、嬉しそうにわらう。


「ええ、構いません」


 風花は顔をあげた。広い野原を、小川は長く長く伸びている。こんな道をずっと歩ける。風花はわくわくした。


 靴と靴下を脱ぎ、風花はそっと足先を小川に浸した。


 すうっと足が冷えるのが心地よい。


 足が水を切る感触、飛び散るしぶきと水音。風花は水に入るのが好きだ。


 優月は瞳で、野原の真ん中にある蜜柑の木を示した。


 飛雨は夏澄と優月に続き、水面を揺らさないような足運びで、川を上っていく。

 

 少し花の香りがする小川だった。


 川底には白い小石が多い。それを踏む感触も心地よかった。

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