第3章 32話 蓮華畑の想い出
春ヶ原の真ん中には、大きな泉があった。
泉からは三本の小川が流れ出て、野原を巡っていた。
泉の横には、蜜柑のような実をつけた大木があった。実と花が同時に付いている。四季成りに近いようだった。
なつかしい、と風花は思った。
子供の頃、よく遊んだ蓮華畑に似ていたからだ。
祖母の家の周りが、こんな桃色の野原だった。
今はもうどこにもない風景。祖母や兄と散歩した一面の田んぼ。沼の周りの青草と桑の実、小川。
池のほとりの大木と梅の木。
祖母の家のくすんだ柱の色、屋根裏部屋。
なぜか、そんな想い出が次々に浮かんできた。
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