第3章 29話 貴族のような青年

「飛雨たちはだいじょうぶ? 探したよね。ごめん。もっと早く出てくればよかったよね」


「夏澄がわるいんじゃないだろ」


「風花にも心配かけたよね。ごめん。春ヶ原の精霊たちに、風花たちは信頼できるって説明してたんだ」


 夏澄は微笑む。その瞳に、光が差し込みきらめいた。


 夏澄の後ろには、青年が立っていた。


 長めのきれいな髪の、貴族みたいに優雅な青年だ。


 きっと、さっきの飛雨の話に出てきた精霊だ、


 彼氏は、やがて深々と頭を下げた。


「先程は大変失礼いたしました。お二方への非礼、心からお詫び申し上げます」


 飛雨は、そんな青年を横目で見る。

 ひと睨みした後、ふん、といって顔を背けた。

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