第3章 28話 光のカーテン

 眉間にしわを寄せ、飛雨は岩の上に寝転がっていた。


 ずっと黙り込んで、宙を睨んている。怖くて、風花の顔まで引きつってきた。


 その彼が、急にぴくっと眉を動かした。

 勢いよく起きあがり、岩から岩へと跳ねていく。


 見ると、飛雨の向かっている方向で、大気が光を放っていた。


 光は縦の線を描き、やがてカーテンのように空間が開く。その向こうには野原が見えた。


 飛雨がいった通りの桃色の風景だった。


 空間から、誰かが出てくる。夏澄だった。


「夏澄ーっっ!」


 飛雨が悲鳴のような声をあげた。

 夏澄に駆け寄り、ぽんぽんと肩や腕を叩いて、夏澄のつま先から頭まで確認する。


「平気だろうとは思っていたけど、心配したぞっ。だいじょうぶか? 怪我とかしてないか? 嫌なことはなかったかっ?」


 ありがとう、だいじょうぶと、夏澄は瞳を細める。

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