第3章 18話 お姫さま抱っこ

 風花たちは、森の東を目指していた。


 飛雨は忍者のように、枝にぶら下がったり、幹を蹴ったりしながら進んでいく。

 スーフィアは宙に浮かんでいた。


 風花は、夏澄に横抱きにしてもらっていた。

 お姫さま抱っこだ。


 夏澄はその体勢のまま、スーフィアと同じように宙を舞っていく。


 飛雨の米俵扱いとは、天と地の差だ。


 足手まといとは思いつつ、風花はぽおっと運んでもらっていた。


「寒くない? 風花」


 夏澄の青い瞳が覗き込んでくる。きらきら煌めいていた。


「全然だいじょうぶだよ、夏澄くんは?」

「だいじょうぶ」


 風花がわらいかけると、夏澄は微笑みを返してくる。

 夏澄のやわらかい髪が目の前で揺れる。風花はますますぽおっとなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る