第3章 17話 動物が多い森

「今日はどこに行くんだ?」


「ここから東方がいいと思うわ。森が深くて、精霊の気配が多いのよ。どう?」


 スーフィアが、飛雨の隣に降り立つ。花びらが舞い落ちたようだった。


「いいと思うぞ」


「それにね、飛雨、風花……」


 夏澄は声を潜めた。


「この辺、ちょっと変わっているんだよ」

 緊張気味なわりに、夏澄の表情は緩んでいる。


「動物の気配が多いんだ。他のところの倍はいるよ。それに、精霊たちの周りに、動物が集まっているように感じる」


「へえ、なんでだろうな」

「この森、きっとなにかあるよ」


 夏澄は流れる風に合わせて、森を見回した。


「もしかしたら、今度こそ本当に、空の上に湧く泉のこと、分かるかもしれない」


 うれしげな夏澄に、スーフィアと飛雨は微笑む。


 夏澄のきらきらした瞳は、空を映していた。青い瞳と空の色が重なり合う。少しだけ濃くなった、ふしぎな瞳だった。

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