第3章 14話 たぶん

「詮索厳禁だからな」


 いいながら、飛雨は岩を蹴る。彼の髪やシャツが、鋭く風を切った。


「夏澄にローフィさんのこと、絶対訊くなよ」


「……うん。訊かないよ。触れたらいけないんだよね、たぶん」


「たぶん?!」

 飛雨は風花を睨む。


「ご、ごめん。わたし、恋愛ってよく分からなくて」

「え? なんでだよ?」

 

 風花は今まで、恋といえる恋はしたことがなかった。恋愛には憧れるが、体験できたことはない。

 だから、恋する気持ちはよく分からない。

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