第3章 13話 「お腹が宙に浮いた」
飛雨が降りたのは、木々の間に点在する岩の中で、一番大きな岩だった。
彼は『重かったー』と大きく息をつき、放り込む出すように風花を岩の上に下ろす。
目眩がして立つことができず、風花は岩の上に転がった。
「だいじょうぶか?」
飛雨が面倒くさそうにいう。
「胃が痛い」
半泣きの声が出た。
「オレも肩が痛いぞ」
「背中痛い。お腹が宙に浮いたー。夏澄くんだったら、お姫さま抱っこしてくれたのに」
「はいはい。でも、こういうのに慣れてくれな。強くないと、夏澄の役には立てないぞ」
……。
風花は体を起した。
深呼吸して目を開ける。ぼやけていた視界がはっきりしたところで、立ちあがった。
「一本杉は南だ。行こう」
飛雨は岩から岩へ渡っていく。
地面は歩きにくいのだ。枯葉と落ちた枝が積もり、足の踏み場がない。
風花は必死で後を追った。
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