第3章 10話 霊力の訓練

「おい、風花」


 しばらく黙っていた飛雨が、急に言葉を投げてきた。


「お前、今度、霊力の訓練してみるか?」

 窓の外を見て、風花に背を向けたまま冷たく続ける。


 車窓の風景は、いつの間にか植物でいっぱいになっていた。


 まばらにあった人家もなくなり、木々の間を山中特有のカーブばかり描いて、道は伸びている。


 まだ春の始めなので、葉を落としたままの朽木色の木々が多いが、まばらに常緑樹の深緑が目に映る。


 山々を優しく包むようで、風花の心を和ませた。


「え、霊力?」

「前、教えろっていってたじゃねーか。教えてやるよ。だから、がんばってみろ」


「ありがとう。でも、なんで急に」

「夏澄のためになるからだよ」


 いった飛雨は、遠く空のほうを見つめていた。

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