第3章 5話 五百才は人間五人分

「それでー……、戦国時代って何年前なの?」


「五百年前だろ」

「五百年?!」


 声をあげてしまい、風花は口をおさえる。


「五百才って、人間五人分だね。飛雨くん、すごいーっ!」


 五百才という言葉に飛雨は眉をひそめたが、ぱあっと笑顔になった風花に、気圧されたように頷く。


「奇跡みたいで、すごいね。夏澄くんの周りはふしぎなことばかりだね!」


「そ、そう。夏澄はすごいんだよ」


 飛雨は笑顔になった。


「夏澄がいると、奇跡が起こるんだ」

 瞳をきらきらさせる。


「……と、いっても、夏澄の霊力で、不老不死にしてもらったんじゃないけどな。自分の霊力を自分で高めたんだ。……でも、夏澄がいなかったら、がんばろうと思わなかった。そうしたら、ここまで強くなれてない。風花もそう思うだろ?」


「うんっ」


 風花はすぐ頷く。

 飛雨とする夏澄の話は、とても楽しい。


「夏澄がいなかったら、オレなんかとっくに、ただの人として一生を終えてるよ。……それより前に、あのとき、夏澄が助けてくれなかったら死んでた」


 飛雨はさらっと死を口にした。


「……なにがあったの?」


 風花は静かに訊いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る