第3章 4話 飛雨の年齢

 不老不死……。


「え? 不老不死って、あの吸血鬼とかの?」

「オレは化け物じゃないぞ」


 飛雨くんは、歳を取らない。


 風花はまじまじと飛雨を見つめた。

 だが、別に変わったところは見当たらない。普通の人に見える。


 かなり日焼けしている肌に、痛みがちな髪。


 服は黒いジャケットにジーンズ。

 そのまま風花の学校に来ても、簡単に生徒に紛れることができるだろう。美形だから、目立つとは思うが。


 どうやっても、人に見えない夏澄くんたちとは違う。


「お前、オレの悪口思ってるだろ」

「いつからなの? 戦国時代って何年前?」


 風花ははっとして、車内を見回した。


 バスには、三人乗客がいるだけだ。だが、静まり帰っていて、風花たちの会話はまる聞こえだろう。


 おもしろい冗談だねー、と、わざと大きい声でいい、風花は飛雨の手を引いて立ちあがった。


 一番後ろの席に移動する。


「なんだよ」

「静かに話そう。ね?」

「お、おう。そうだな……」


 飛雨は座席に隠れるように、身を低くした。

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