第2章 21話 ルール

「もしかして、今日も探しに行っていたの?」


「うん、今日は西の山にある洞窟に行ってきた。細い水脈がたくさんあってさ、全部見たから、少し疲れたよ」


「疲れたのは、あんなにたくさんの木を癒やしたからでしょ」


 心配げにいうスーフィアに、夏澄はごめんとつぶやく。

「洞窟に行く途中でね、病気が流行っている森を見つけたんだよ。でも、ルール違反じゃないから、いいんだ」

「ルール?」


「夏澄は仁愛の精霊でしょ? ほおっておくと、端から動物や植物を癒しに行っちゃうのよ」


 いったスーフィアに、夏澄はまた謝る。


「でもそれじゃあ、夏澄の体力がもたないし、精霊の国を元にもどす方法も探せないでしょ? だから私たちは、誰かを癒やすのは、見かけたり出会ったりしたときだけってルールを決めたの」


 風花は黙り込む。


「夏澄に会えなかった動物たちにとっては不公平な話だし、夏澄にもわるいけど、我慢してもらっているの」


 でも、それだと……。

「それだと、夏澄くんがつらいね」


 いうと、スーフィアは微笑む。いい子といって、風花の頭を撫でた。

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