第2章 19話 青い水のきらきらな空

 そんなに長い間捜し続けて、夏澄くんはどんな気持ちでいたんだろう。


 冗談めかす夏澄に、少し泣きたくなった。

 ずっと願いが叶わなければ、普通は感情を無くすと思う。


 それなのに夏澄くんはよくわらったり、泣いたりする。


 ……夏澄くんは、思ったよりずっと強いんだ。


「ねえ、夏澄くん」


 夏澄くんは、悲しい? つらい?

 風花は言葉にできなかった。聞いたら、なにかが壊れてしまいそうだった。


 深呼吸して、風花は声を明るくした。


「空の泉って……」

「なに? 風花」


 夏澄は頭を霧にもたせかける。


「空の泉って、どんな色だったの? 地上から見えたの?」


「雲よりも高いところにあったから、あんまり。でも、風が強い日に泉が波立って、きらきら輝くのは見えたよ。ああ、あと、泉があるから、国の空は透きとおった濃い青色だったよ」


 透きとおった濃い青の、きらきら輝く空。


 想像するだけでまぶしいと、風花は思った。

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