第2章 15話 絶対、手伝いたい

「う、うん……」


 風花はそれだけしかいえなかった。


 まっすぐな視線を受けると、どきどきしてしまう。本当は目一杯の笑顔で、返事をしたかった。


 そんな風花に、夏澄は瞳を曇らせる。

 風花はあわてて続けた。


「あ、あのね、手伝うよ。絶対、手伝う。わたしね、夏澄くんを手伝えたらいいなって、ずっと思ってたんだから」


「そう……?」


「うんっ。夏澄くんの故郷が元にもどったら、すごくいいなって思う。みんなが幸せな国って、わたしにとっても夢なの。だからね、飛雨くん」


 風花は一度、言葉を切って、飛雨に向き直った。


「な、なんだよ」

 飛雨は身構える。風花は深々と頭を下げた。


「わたしに霊力の身につけ方を教えてくださいっ。お願いしますっ!」


「はあっ!?」


 飛雨は声をあげた。

 しばらく沈黙したあと、思い切り迷惑そうな顔をする。それを隠すように、瞳を伏せた。


「う、ん……。でも、それはちょっと難しいかもしれないね。霊力っていうのは、生まれつきのもの……」


 飛雨の言葉を、スーフィアが手で制して止めた。


「なんだよ、スーフィア」


「飛雨、また夏澄のモノマネになっているわ」


 飛雨は顔を赤くした。

「また、それかよ。してねーよ」


「本当に夏澄が好きなのね」

「してねーって!」

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